平成30年1月25日(木)晴れ 熊本地震発生から652日。 学校教員を目指す大学生の方たちは 将来、動植物園を利用して教育面で一緒にお仕事することもあります。 本日は、熊本大学教育学部の先生、院生、学生さんたち20名が 学びにこられました。 正面玄関から園内に続く熊本地震の復旧工事の間を通り抜けながら
動物病院などもある管理センターへ。
まずは、踏み込み消毒槽で消毒後、処置室へ移動。
病気や負傷した動物たちをここで治療しますが ここに連れて来れないような大型の動物や 意識があると、ヒトに危害をくわえるおそれのある動物たちには どこでどうやって治療するのかも、お話しました。
当園で麻酔をかけるのに使用しているのは 主に吹き矢でうつ注射麻酔、手でうつ注射麻酔、吸入麻酔。
当園で使用している手術台、心電図、エコー検査、電気メス、レントゲン室 なども同部屋にあります。 その後は、入院室の動物たちのところへ案内。
当園に入ってくる動物たちは色々おりますが 基本的には他園館や動物商などとの動物移動が主となっています。 日本動物園水族館協会が掲げる動物園の4つの大きな目的 「種の保存」、「教育」、「研究」、「レクリエーション」があります。 当園も、その目的のもと、繁殖・教育・研究・展示のために 購入、譲渡、交換、借受、預託などで動物移動を行っています。 以前は、負傷病動物の持ち込みや 警察から保護動物の引き取り依頼等もありましたが 収容スペースの不足から、現在、保護ひきとりは行っておりません。 また、感染症対策として、園内へのペット同伴も禁止しております。 現在は、熊本県鳥獣保護センターで 負傷病鳥獣(野生動物)の保護が行われています。 犬猫などペットの負傷病・迷子の保護に関しては 熊本市動物愛護センターがあります。 市外の方は、菊池、天草、人吉などの保健所と 熊本県動物愛護センターもあります。 保護した動物種・場所などによってひきとれる自治体等も異なりますので 最寄の機関にまずお問い合わせください。
さて、このあとは解剖室や細菌検査室なども案内して 動物園における解剖の方法やその後の骨標本作成も含めた 処理方法などについても解説いたしました。
また、当園で解剖後にさくせいされた骨標本や剥製などを保管している 動物資料館の収蔵室へ行き めったに見ることのできないような 様々な動物や鳥たちの骨標本や剥製を紹介いたしました。
こちらは、当園で飼養していたカバの頭骨。
剥製もたくさんあります。
シフゾウの全身骨格は、地震で頭骨がはずれたので
今、わけて保管中。
さらに、当園の動物資料館で行っている繁殖・研究を目的とした 様々な取り組みを、館内の研究室で飼養している 魚類、両生類、爬虫類、昆虫類などもまじえて解説。
以前は、江津湖にたくさんいたゲンジボタルは 今は上江津湖の一部でしかみることができません。 動植物園では、平成9年からゲンジボタルの再生の取り組みを行い ホタルの幼虫の養殖・園内の日本庭園への放流を毎年繰り返して 今では園内の日本庭園にゲンジボタルが根付いています。 このような生息域外での繁殖取り組みを 域外保全といいます。 熊本地震で、わたしたちは、たくさんのものを失い 日常にあったたくさんの大切なものに気づかされました。 多くの方々の手をかり、ご好意をいただきながら 復興に向けて歩んでいます。 わたしたち動植物園の役割の1つとして ふるさとの自然を守り 再生したゆたかな自然をこどもたちの手に引き継ぎ そこでくらし訪れる人々にとって大切な思い出の場所として 自分たちのふるさとを愛し、誇り、語れることを目指して がんばっていきたいと願っています。 今回、こられた学生さんたちも こどもたちへの豊かな教育を目指しておられます。 皆さんのこれからの活躍の一助となれば幸いです。 上野、長野
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