今回はバックヤードエリアにある、飼育管理センターで暮らすムササビの「食痕」のお話です。
食痕という言葉を聞いたことがありますか?
食痕は、「動物が餌を食べた痕跡」という意味で「しょっこん」とも読みます。
ムササビは夜行性なので、ごはんを食べているところを直接見る機会がなかなかありません。
そのため、次の日にムササビがごはんを食べた痕跡「食痕」を見ることで、
何をどのように食べたのか、何が好きなのか、などを知ることができます。
では、さっそく食痕を見ていきましょう!
まず、普段食べているごはんから…
当園では、りんご、にんじん、バナナ、さつまいも、キャベツ、小松菜、
タネ類、草食動物用のペレットをあげています。
その中でも面白い食痕が残るのはこちら!
同じ食べ物ですが、わかりますか?
こちらも食べ残したものになりますが、これはわかりやすいと思います。
正解は小松菜でした!
緑色の葉の部分のみ器用に食べていますね。
また、同じような食痕が残るのがキャベツです。
このように薄い葉の部分だけ食べて、硬い芯や葉脈だけ残っていることがあります。
次は秋の味覚、どんぐりです!
硬い殻を囓り、中身だけ綺麗になくなっていました。
このどんぐりは、外側の硬い殻に穴を開けるのを頑張った痕跡も残っていました。
ムササビは野生下では、木の葉や木の芽、果実などを食べるため、
ムササビのお部屋に何種類か樹葉も入れています。
これはマテバシイの葉っぱの食痕です。
ムササビは葉っぱを半分に折って食べるので、左右対称の食痕が残ることが多いです。
この葉っぱは半分に折って、少しだけ齧った痕跡がありました☺️
そして、樹皮も食べます!
好きな木の樹皮は写真のように元の色がわからないくらい、綺麗に齧られていることもあります。
また、冬の間は食べられる葉っぱが少ないので、この日は試しに枝だけ入れてみました。
これはエノキの枝で、矢印の部分が冬芽になります。
冬芽は、春になると葉っぱが出てくるところです。
白くなっているところが冬芽のあった部分です。冬芽だけ器用に囓られ、なくなっていました!
ここまで様々な「食痕」を見ていただきましたが、どうだったでしょうか?
実は、野生のムササビを探すのにもこの食痕が目印になります。
先ほど紹介したマテバシイなどのどんぐりの木では、秋になるとどんぐりの食痕が
分かりやすいですが、それ以外の季節は葉や枝、樹皮を齧った食痕が目印になります。
また、サクラは冬から春にかけては芽を、暖かくなり花が咲きだすと
つぼみや花を食べ、花の時期が終わると葉を食べます。
このように季節とともに食べる部分が異なる植物もあり、
同じ植物でも様々な食痕を見ることができます。
他にも松ぼっくりやツバキのつぼみ、モミジ等、馴染みのある植物も食べます。
自然散策の際は、もしかしたら今回紹介した食痕に似た痕跡が落ちていたり、
囓った跡を見つけるかもしれませんよ!
また、ムササビ以外の生き物の「食痕」にも出会えるので、
身近な植物をじっくり観察してみるのも面白いですよ😊