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アフリカゾウ(マリー)の牙を切りました

2020年11月3日(火)

熊本市動植物園には2頭のアフリカゾウがいます。
若干大きめのマリー(メス、推定40歳)と、食いしん坊だけど小柄な
エリ(メス、推定39歳)で、小さい時から当園で暮らしています。
マリーエリ
(上)マリー (下)エリ

写真でおわかりのように、最近マリーの牙が伸びてきて、先端が
くっつく寸前になってきました。
ゾウの牙は、ヒトでいえば上の一番前の歯「切歯(せっし)」に
あたります。ただ、ヒトの切歯と違い、ゾウの牙は毎年数センチ
伸び続けます。
マリーの牙は内側に湾曲(わんきょく)しているので、放置していると
最後は先端がくっついて、いろいろと不都合なことが起きてきます。

 ①鼻の上げ下げするのに邪魔!(に違いない)
 ②両側から圧力がかかり、牙が割れたり折れる場合がある
 ③地位の低いエリや飼育員に、先端で危害を加える恐れがある

そこで、約4年ぶりに牙を切りました。
10月20日に左の牙を、先端から25センチ位のところで切りました。
左切断中

↓片側切断後は、あまり見栄えがいいものではありません。
左切断後

↓31日には、今度は右の牙を切りました。
一番マッチョな飼育員も、牙の硬さには非常に手こずりました。
右切断中

↓切った牙は太さ約6cm、重さは片方で約1㎏ありました。
また、個体差はありますが、断面は決して円形ではなく、
四角いのがわかります。
切ったもの

↓これでまた大好きな孟宗竹も折って食べることができます。
快調1 快調2
牙を支点にして一気に折ります。バキバキと音が聞こえてきそうです。


これでひとまず安心!と思ったのもつかの間、今度は右の奥歯
(臼歯)が脱落しているのが見つかりました。

ゾウの歯は、草履のような長い歯が上下左右1本ずつ、
計4本しかありません。
一生に5回生え変わるのですが、ヒトのように下から押し出される
のではなく、奥から手前に押し出されてきます。
自然に脱落するので、運動場の土や寝室の糞に紛れて見つかれば
確認できますが、なかなかうまくいくものではありません。
今回は歯が見つかり、口の中の確認もできましたので順調でした。

↓脱落した右臼歯
脱落した臼歯

↓(左)脱落前と(右)脱落後
臼歯脱落前 臼歯脱落後

牙を切ったり、口の中をのぞいたり、いとも簡単にやっているように
見えますが、これができるのも日々の訓練の積み重ね、長い間築き
あげてきたゾウとの信頼関係のたまものです。

朝夕の訓練では、ゾウが指示に従ったり、じっと静止していられたら
ごほうび(専門的には強化子といいます)を与え、ストレスを与えない
よう、ゾウの方から協力してもらえるよう仕向けています。

また、牙を切るまでにはまず、ノコギリを見せる、柄を牙に当てる、
刃(背)を当てる、刃(背)でこする、と毎日少しずつ進めて、動物の
抵抗がないことを確認(刺激に対して感覚を鈍らせ反応をなくすこと、
脱感作といいます)しながら、ようやく本番にたどりつくのです。

今回はゾウの話でしたが、飼育員が動物の健康管理に日々奮闘している
ことが少しでもわかっていただけるとありがたいです。

飼育展示第2班








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