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動植物園・東海大学農学部 合同シンポジウムを開催しました。

2023年3月7日(火)

3月5日(日)、熊本市動植物園・東海大学農学部 第7回合同シンポジウムを開催しました。


タイトルは『家畜ってどんな動物? ~動物園でヒトと動物の深い関係を考える~』


特別講師に国立民族学博物館の池谷 和信 教授をお招きし、民族学、農学、動物園のそれぞれの立場で3名の講師が『家畜』をテーマに講演を行いました。


1人目は、池谷先生の講演です。

演題は『民族学からみた家畜と人のかかわり』。

池谷先生UP

  国立民族学博物館 池谷 和信 教授


池谷先生の話は実体験に基づいていました。

池谷先生は、長年、アフリカ、シベリア、アジア、アマゾンの奥地など世界中を訪れ、フィールドワークを実施し、その地の文化を体験しておられます。その中でも、今回は家畜に関することについて、講演いただきました。

 

池谷先生が、見たこと、体験したこと、食したこと、といった体験談に加え、自ら撮影された現地の写真や映像をふんだんに使用されて、それぞれの国や地域でヒトと動物とがどのような関係を築いているのかをわかりやすく、面白く伝えていただきました。

 

とくに、ケニアで撮影されたラクダを治療する牧畜民や、バングラデシュでの数百頭もの豚の遊牧の映像などは印象的でした。私たちの知らない文化が、そこにはありました。

 

池谷先生の話をとおして、

『それぞれの地で、それぞれヒトの文化があり、関わる動物の種類、動物との歴史、動物との関わり方が多様であるということ。そして、それらは、私たち日本人の感性でははかれない一面があるものの、その地のヒトにとても大切にされていること。』を学ぶことができました。

 

 



2人目は、東海大学農学部動物科学科の松本 大和 准教授です。

演題は、『突然変異と家畜の種類~あか牛なのになぜ白い~』

松本先生

東海大学農学部 松本 大和 准教授


松本先生は、遺伝学が専門です。

熊本の特産のあか牛の中には、稀に白い毛色のものが生まれます。このような牛は淘汰せねばならず、畜産農家にとっては経済的な損失となります。

そこで松本先生は、あか牛の毛色について遺伝子のレベルで研究しています。

遺伝子の突然変異について、某アニメを例に、わかりやすく、楽しく説明されたあと、白いあか牛が生まれるメカニズムを熱意をもって話してくださいました。




 

3人目は、動植物園の職員で獣医師でもある井手 技術主幹です。

演題は『動物園と家畜~ふれあい広場の動物たち~』

井手主幹

    動植物園 井手 技術主幹


井手 技術主幹は、当園においてヤギやヒツシなどの家畜を展示している『ふれあい広場』について話しました。

ふれあい広場の歴史や取り組みに加え、熊本地震後の閉園せざるを得ない時期に動植物園のヤギやモルモットなどを連れて学校等を訪れた『移動動物園』の話をしました。

 




3人の講演の後は、総合討論『動物園でヒトと動物の関係を考える』。

東海大学農学部応用動物科学科 伊藤 秀一 教授にコーディネーターを務めていただきました。

総合討論

        総合討論


コーディネーターからの『動物園に展示されている動物は家畜なのか?』 『もし、あなたが動物園の園長になったらどうしますか?』の問いにそれぞれの講師が、それぞれの立場で意見を交わしました。

また、会場の高校生からも、『(久連子古代踊りに使う花笠を作成できる人が減り)伝統文化が衰退していくことをどう思うか?』 『これから動物とヒトとの関わりがどのようになっていけばよいか?』といった、質問が出るなど、有意義な総合討論となりました。

 

 

シンポジウム全体をとおして、民族学、農学、動物園、それぞれの視点から家畜を見つめることができました。それに加え、動物との関係を語るにうえには、ヒトの存在が欠かせず、そこにはヒトの文化があり、文化は多様であり、その多様性を認め合うということが大切だということを学びました。


診療教育班より

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