ふれあい新聞 11月号にて紹介した メスのアカカンガルーたちが始めた体重測定の練習について 今回は準備段階から測定ができるようになるまでをご紹介‼
ふれあい新聞 11月号にも掲載した体重計に慣らしている時の様子 写真左ミヤビ,右セブン.
紹介に入る前に みなさんはアカカンガルーのような大きい動物の体重を測るとき どうやって測っているか知っていますか?
当園では,バー型の体重計(写真中央)に板(写真右)を置き その上に乗ってもらい測定しています.
練習を始める前にまず取り掛かったのは、体重計を置く個室作り. もともと治療をする時などに利用していた個室はありましたが 体重計よりも幅広かったため アカカンガルーが体重計を避けて通る可能性がありました. そこで,体重計の大きさに合わせて個室を狭くできるように 仕切りを増設しました.
メスカンガルー舎のイメージ図. 左から茶色の枠が室内,グレーの枠がサブパドック, そして右に展示場が広がっており,=は扉を示しています. 普段は展示場からサブパドックを通り 「いつもの出入口」と書かれた扉から寝室に帰っています. 今回「個室」と書かれた部屋に体重計を設置し 室内を通って寝室に帰るという経路にしました.
これで,「あとは体重計に乗ってもらえばOK👍」とはなりません… 当園のアカカンガルー,とくにワンコとスズは新しいものが苦手…
なので, この個室に板だけを置きここを通って寝室へ帰ることから始めました. 普段とは違う帰り道. 初めは匂いを嗅いだり周囲を見渡したりと 慎重に辺りをうかがっていましたが, 次第に慣れていきスムーズに寝室に帰るようになりました.
板に慣れた頃の様子.全頭警戒せず個室に入るように.
次に挑戦したのは,いままで通過できるように開けていた扉を 閉めた状態で個室に入ることです. 体重計に乗ってもすぐに通過してしまうと測定ができないので, 扉を閉めた状態でも個室に入ることができるように練習開始.
比較的はやく個室に入れたのは, 初めてみるものでもそこまで物怖じしないセブン. その後他の個体もゆっくりと慣れてくれました. 個室内の様子がいつもと違いUターンしてきたワンコ.
そして,最後に実際に体重計を置いた状態で板に乗る練習です. いや~長かった~ 間に体調崩した個体の治療が入ったこともあり, 個室作りからここまで来るのに半年以上かかってしまいました💦
さて,いよいよ体重計へ乗ってもらうのですが, もちろんここでも慣れる期間が必要です. 新しい物の匂いだけでなく10㎝程の段差を越える必要もありました.
設置した体重計.
いつもの強化子(有袋類用のマズリ)に加えて, リンゴとサツマイモを用意して練習開始❕ 板の中央だけでなく,入口周辺にも強化子を置いて様子見ましたが, サブパドックをぐるぐると回るのみ,1頭も個室に近づきません… 長い時間をかけてストレスになってもいけないので, 各頭5分で練習を終えていつもの入口から寝室へ戻しました.
この練習を続けて13日目. 全頭の中で最初に乗ったのは意外にもミヤビでした. ここでも最初はセブンかなと思っていたのですが予想が外れました😅
ゆっくりと体重計に近づき 匂いを確認してから前肢をついて乗りました. この後,強化子を食べながら進み、寝室まで帰って行きました.
そして,翌日には恐る恐るではありましたがセブンも乗れるように!
数日続けているとミヤビ,セブンは 比較的すんなりと乗れるようになってきました. ワンコ,スズも何度も練習するうちに 少しずつ乗れるようになりました.
初めは5分かかっても前肢すら乗せませんでしたが, 今では全頭5分かからず体重計に乗ってくれます😊
そして嬉しい誤算も‼ 扉を閉めた状態で個室に入る練習をしていましたが, 扉を閉めなくても体重計の上でちゃんと止まってくれるんです‼
測定中のセブン.尻尾まで乗せて静止してくれています. 毎度開けたり閉めたりしなくてすむので, よりスムーズに測れるように👏
メスは高齢の個体が多いため これからも健康継続の一助に努めてまいります. |