みなさんこんにちは!
先日、今年度最後のサポーターズデーが開催されました。
(サポーターズデーについてはこちら)

『東稜高校生物部と学ぶ シシオザルの環境エンリッチメント』では、
飼育員が取り組んできた環境エンリッチメントについて
高校生がおこなった研究のご紹介をしました。
今回のブログは、この研究のお話です。
環境エンリッチメントとは、動物たちの心身ともに
健康な生活を支えるための色々な工夫のこと。
シシオザルに対して取り組んでいる
環境エンリッチメントのひとつに、フィーダーの設置があります。
(フィーダー:動物がエサを探したり取り出したりする行動を
とりながら食べられるように工夫した給餌器のこと)

短い枝を詰めた大きな筒にエサが入っています
しかし、フィーダーを使うことで
エサを食べる時間は本当に増えているのでしょうか?
フィーダーを取り合ってケンカになるなど こちらの意図していない問題は起きていないでしょうか?
シシオザルが感想を教えてくれればいいのですが もちろん そういうわけにはいきません。
そこで、動物の行動を観察して、 記録し、そのデータを解析することで 本当にエンリッチメントとして機能しているのかどうかを 調べるという方法があります。
今回、東稜高校生物部の皆さんが これらのフィーダーの使用が
シシオザルの行動にどのような影響を 与えているかを研究テーマに選んでくれました。

観察対象は屋外の放飼場での行動
いろいろなフィーダーがあります
観察したのは夏休み。
園内で見かけた方もいらっしゃるかもしれません。

暑い中、本当によく頑張ってくれました!
フィーダーの中にエサを入れた日と
フィーダーを使わずに床にエサをばらまいた日で
シシオザル4頭(群)の行動が どのように異なるかを調べました。
それでは、この観察・記録したデータを解析して
わかったことをご紹介していきましょう。
まず、フィーダーを使用した日のほうが
食べることに関連する行動をとる時間が増えて
休んでいる時間が減りました。
また、他の個体を攻撃したり
他の個体から逃げたりする時間が
フィーダーを使った日のほうが 少ないという傾向も示されました。
しかし、フィーダーを使っていた時間は
放飼場に出てから20分程度に偏っていて
その後はほとんど使用していませんでした。
もっと操作が必要だったり、
途中でエサを追加できるようなフィーダーがあると 食べる行動をもっと増やすことができるのかもしれません。
さらに面白い結果だったのが、オスとメスの行動の差です。
メスのほうがフィーダーの使用が多く、
特に難易度の高い竹筒のフィーダーは
ほぼメスだけが使っていたそうです。

(竹筒のフィーダーについてはこちら)
当園では、体の大きなオスのほうが順位が高いので
オスは簡単に食べられる床にばらまかれたエサや
簡単なフィーダーを操作するのに対し、
メスはケンカしないでエサを食べるために
オスが選ばないフィーダーを多く操作したのかもしれません。

揺らすことで穴からエサが出てくる
フィーダーを操作するツバサ
オスが強いこと、メスがフィーダーをよく使っていることは
私たち飼育員も観察していましたが、
データに現れたことで改めて確認できました。
強いオスのほうがエサを独占しがちで
結果として太ってしまいやすくなります。
難易度の高いフィーダーに入れるエサを増やしたり
カロリーの高いものを入れたりすることで
健康管理に生かすこともできるかもしれません。
高校生に研究してもらったことで
私たちも飼育管理のヒントをたくさんもらいました。
これからも色々なフィーダーを考えていきます!

最近調整しながら試している新しいフィーダー
(プラスチックのプールに乾草とエサを入れてあります)
東稜高校の皆さんは サポーターズデーでも
お客様にわかりやすく伝える工夫をして
研究発表をしてくれました。

観察の際には「シャイな高校生」という
印象だったので、とても立派な発表にびっくり!

シシオザルの毛づくろいを演じる高校生
私たち飼育員は清掃やエサづくりなどの作業のために
普段はじっくり動物を観察する時間をとることができません。
また、観察するタイミングも給餌直後などが多く
偏った印象を持ってしまうこともあるので
今回のように観察をしてデータを得ることで
動物たちの実際の姿を想像することができます。
今後もできる限り客観的な観察をもとに
動物たちの暮らしをより良くするために努めていきます。

※今回の東陵高校の研究は、
東海大学農学部動物行動科学科 行動学研究室との共同研究として
伊藤教授と大学院生のサポートのもとにおこなわれました |