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動物だよりvol.349朝日小学生新聞「こども会議」 in 熊本市動植物園

2017年11月12日(日)

平成29年11月12日(日)晴れ

 

熊本地震発生から578日。

 

 

この日、朝日小学生新聞主催による

「こども会議」が当園で開催されました。

「こども会議」では、朝日小学生新聞が創刊50年となった2017年に

未来に関するさまざまなテーマで子どもたちが意見を交わします。

 

今回は、こども会議5回目。

熊本地震で被災した熊本市動植物園を知ったうえで

「未来の動物園を考えよう」というテーマです。

 

4回目までのこども会議については

簡単に紹介すると、以下のとおりです。

 

1回目:東日本大震災で被害を受けた宮城県仙台市で開催。

テーマ【津波で亡くなる人を0(ゼロ)にするには】

 

2回目:東京都八王子市の里山・長池公園で開催。

テーマ【里山の「宝」を伝えていくには】

 

3回目:広島県広島市で開催

テーマ【平和への思いをつないでいくためにはどうしたらいいか】

 

4回目:名古屋大学トランスフォーマティブ生命分子研究所で開催。

テーマ【研究のおもしろさを伝えよう】

 

 

5回目の今回も、たくさんの応募があった中で

当選した13名のこどもたちに、おこしいただきました。

 

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実は、10月に開催する予定だった今回のこども会議ですが

九州が週末2回の台風に見舞われて

2回延期することになりました。

しかし、参加者の方々の並々ならない参加への熱意がありまして

11月12日に開催することができました。

 

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はじめに、当園の岡崎園長より

挨拶と熊本市動植物園のこれまでを88年前にさかのぼって

お話がありました。

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当時の新聞でとりあげられたものや


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水前寺に動物園があったころのこと。

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地元のひとでも、知らないことが多いです。

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現在の場所に移動したときは

ご近所の泉が丘小学校のこどもたちが、パレードに参加して

この写真のどこかに、当時の小学生の岡崎園長もいて

一緒に行進したそうです。

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今は、ここの園長。

なにやらご縁を感じます。

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獣医師の上野からは、昨年の熊本地震による被害を受けて

わたしたちスタッフが感じ、行動し、学んだことを

当時から今日に至るまでの写真を見てもらいながら、伝えました。

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当時の状況を、真剣にメモしてきいてくれるこどもたち。

 

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これから、復旧工事がすすんでいき、地震の爪あとが見えなくなっても

わたしたちスタッフの目や心には

あのときの光景や状況が焼きついています。

 

被災したひとりひとりが、同じ地震で異なる様々な体験をしています。

 

園内スタッフひとりひとりにそれぞれのくらしがあり

担当している動物の違いがあります。

家の被災状況も異なり

園での担当動物に必要な対応も異なっています。

 

今回は、ひとりの目線から見てきた熊本市動植物園のできごとを

紹介しましたが、園内には、まだまだたくさんのスタッフがいます。

 

ぜひ、園内でスタッフをみかけたら声をかけていただき

担当動物のことや当時の状況をたずねてみてください。

 

きっと、いろんな体験や教訓がきけると思います。

 

そして、震災を想定して必要なこと、物、ヒトとヒトとの絆の大切さを

あらためて知ることができると思います。

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さて

 

熊本市動植物園のことと、熊本地震による影響を知ってもらったところで

立ち入り禁止エリアに、参加者と保護者の方々を案内します。

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足元が危ないエリアとなるため、当園の動物ボランティアさんにも

危険箇所への注意喚起の協力をしていただきました。

 

マンドリルのコタロウも、久々のお客さんに俄然やる気をだして

おしりを向けて挨拶してくれました。

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獣舎の破損があるユキヒョウ舎を案内後

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その裏手にある地割れ部分も紹介。

 

こどもたちは、その深さや段差の大きさを体感していました。

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ユキヒョウ舎をはじめとする猛獣舎の裏手には

このような長い地割れが無数にみられます。

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また、裏手にある動物病院で飼養されている鳥たちの様子や

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獣舎の傾きによって別の獣舎に移動せざるをえなくなった

クロクモザルとワオキツネザルの獣舎を見学。

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さらに、工事中の正門前を通って

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ペンギン舎へ。

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数日後にはペンギン舎は補修工事がはじまるので

ペンギン舎の破損を直にみれた最後の見学者となりました。

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観覧通路の破損があるホッキョクグマ舎では

地震の中、エサを完食していたつわもののマルルを観察。

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マルルも、なにごとー?と

久しぶりのこどもたちを見つめていました。

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地震の被害箇所を真剣な面持ちで見て回っていたこどもたちも

元気にくらす動物たちの前では、途端に笑顔がこぼれていました。

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すでに配管工事がすんだ水禽舎前を抜けて

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オタリアプールの前へ。

 

泳いでいたマイも、やはり何度も上体を水中から出して

皆の様子を眺めていました。

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こちらは、地震による心的影響を大きく受けたチンパンジーたちの部屋。

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左上はユウコ、エサをいっぱい口と手に集めています。

下で好物をさがして歩いているのはノゾミ。

奥にいるのは、マルク。

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ノゾミは、すぐに大好きなフィーダーへ。

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目をきらきらさせているこどもたちの様子をみて

今日ははりきらねば!とオスのマルクは

気合を入れて扉を蹴りだしました。

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だんだん毛が逆立ち、口をとんがらせて

興奮が高まっていきます。

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大きく最後に扉を一蹴りして

皆が真下に見える強化ガラスの上へ。

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何度もジャンプを繰り返します。

 

地震後、ここまでディスプレイという自分の力を誇示する行動を

長くみせてくれたのははじめてです。

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その迫力に、こどもたちをはじめ参加者の方々も

目を見張って釘付けになっていました。

 

マルクは、大満足だったようです。

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午後からは、動物資料館を出てふれあい広場に向かいます。

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ふれあい広場では、担当スタッフの松本より、熊本地震で休園中行った

ふれあい移動動物園のきっかけ、そのときのこどもたちの様子

わたしたちスタッフが感じたことなどを伝えました。

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それから、「いのちを感じよう」というプログラムを実施。

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これからふれあってもらうモルモットについてや

ふれるときに気をつけてほしいことについての説明を行いました。

 

こどもたちは、そっとやさしい手つきでさわってくれて

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笑顔だったり、真剣な顔だったり

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とてもイキイキとしていました。

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参加者の兄弟姉妹も一緒に来られていたので

横から一緒にふれあってもらったり

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なんとスケッチをしている参加者も!

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上手にふれあってもらったところで

次は、モルモットの心臓の音をきいてもらいます。

 

心臓は、大事ないのちの源です。

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スタッフが、聴診器の先をモルモットの胸にあてるのを手伝います。

 

きこえるかな?

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聴診器の使い方も、どんどん上手になっていきます。

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保護者の方も、こどもたちと一緒に

 

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モルモットの心臓の音をきいたり

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お互いの心臓の音を聴いたりして、比較してもらいました。

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さて、参加者全員が、モルモットの心臓の音をきいたところで

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バーチャル心音計の登場。

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さっきのモルモットの心臓の音をおぼえていてね。

 

今から、大人の心臓の音をきいてもらいます。

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「おそーい!」

というこどもたちの感想のとおり

スタッフの心臓の音はとても遅く・・・うん、とても長生きしそうです(^^)。

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食べ物を食べるという行為も、生きて元気でないとできない行為です。

 

そこで、聴診のあとは、タンポポの葉を自分たちの手で与えてもらって

生きているいのちの存在を、さらに実感してもらいます。

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エサのあげかたも、ヒトそれぞれ。

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モルモットと向き合って手ずから与えたり

エサをそばにおいて、自由に食べさせたり。

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みな、まっすぐな目で動物たちをみています。

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そして、最後に大事なこと。

 

【終生飼養】について、皆にきいてもらいます。

 

動物たちを一度家族として迎えたら

その寿命がつきる最後まで、責任と愛情を持って一緒にくらしましょう。

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そして、いのちを感じようの授業が終わるころには

短い時間に、モルモットの姿や行動を描いてくれていたこどもたちも

完成した絵やメモをみせてくれました!

 

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さて、動物資料館に戻ります。

 

エンリッチメント大賞をとられた大牟田市動物園から

講師として川瀬 啓祐 獣医師にお越しいただきました。

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大牟田市動物園の現在地から

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スタッフたちが行っている各種取り組みを、紹介していただきました。

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動物たちの協力のもと、ハズバンダリートレーニング(※)ですすめてきた

ゴマフアザラシの採血、キリンの直腸での体温測定

ライオンのワクチン接種、世界初のマンドリルの採血の様子など。

 

(※)動物も人も安全な状態で、動物の健康管理や治療のために

動物の自主的な協力のもと、飼育下で行うトレーニング。

 

そして、エンリッチメントとしては

クマへのフィーダー、ライオンの穴掘り用土の導入

アライグマ舎内の木組みの導入とその変化付けなど

たくさんの情報提供をしていただきました。

 

こどもたちも、興味深そうに学んでいました。


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そして、朝から学んできた動植物園の様々なできごとを踏まえて

未来の動物園について、参加者の皆さんに考えていただきました。

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5年生のグループ(手前)と、4年生以下のグループ(奥)に分かれて

まずは、ひとりひとりが、どんな動物園を目指したいか考えます。

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来る前に考えてきたよというこどもたちも多くいましたが

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今日いろいろきいたり見たりした話をふまえて

さらに想いが広がります。

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グループ内で、まずひとりひとりが自分の考える動物園を話し

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それに対する感想や意見をもらいます。

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ときに笑顔がこぼれたり


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照れくさそうだったり

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誰も互いの発表を否定することなく

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たくさんの想いを伝えてくれました。


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グループ内での話しが終わる頃には

互いの意見や評価を取り入れた新たな未来像ができました。

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そして

 

ひとりひとりが、全体に向けて発表します。

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今回こどもたちから出た意見は

今後の熊本市動植物園の再編整備を計画しているスタッフたちから

出てきた意見と重なるものも多くあり、驚かされました。

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また、全員の前での発表では

簡潔に要点をとりまとめて発表されていましたが

グループ討議中には

たくさんの動植物園や動物をみてきた視点での

ここをもっとこうしたほうがいいのでは

ここが良かったからもっとここを重点的にやってほしいなど

細かいところまで真剣に考えた意見をいただきました。

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さらに、今回印象に残った場所として

チンパンジー舎でのオスのマルクの迫力あるディスプレイと

ふれあい広場での「いのちを感じよう」のプログラムの2つが

こどもたちの話の中から出てきました。

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「こんなに間近で、チンパンジーの行動をみたり知ることができたのは

今回がはじめて。もっと、こんなふうに動物の生態や行動について

ガイドとかでアピールしていくことが

動物園にまた来たくなることにつながると思う」

 

「ふれあいが、とても楽しかったし、嬉しかった。モルモットを好きになったし

こういう教育的なことをもっと積極的にやっていってほしい」

 

とてもありがたい言葉でした。

 

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以下に、こどもたちからの未来の動物園についての考えを掲載します。

 

 

こどもたちの発表に感服した岡崎園長は

未来の動物園についての皆さんの貴重な意見を

再編整備計画をすすめる上でぜひ参考にしたい、と述べられました。


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今回、こども会議のテーマとされた「未来の動物園を考えよう」は

地震からの復興、さらにその先の未来をみつめる

わたしたち熊本市動植物園のスタッフにとっても

経験、情報、情操教育的内容をこちらから伝える場としてだけではなく

こどもたちが担うことになる未来の動物園に対する想いや考えを

こどもたちから知ることができる良い機会となりました。

 

 

2度の台風襲来によって延期に次ぐ延期となりましたが

それでも強い想いで参加してくださった参加者の皆さま

 

会議開催が延期と知り、地震で被災した熊本市に対する熱い想いを

メールや手紙で伝えてくださり、事前に園にお越しいただいた参加者の方々

 

こども会議後、感謝の気持ちをお手紙に綴って渡してくださった方々

あたたかく見守ってつきそってくださった保護者の方々

 

講師を快諾して熊本市までお越しいただいた大牟田市の川瀬様

 

動物ボランティアの方々

 

そして、次回のこども会議の開催場所をぜひ熊本市動植物園でと

何度も連絡調整していただいた朝日小学生新聞の方々

 

皆々様、ありがとうございました!

 

地元に戻られたら

ぜひ、それぞれが見て、感じて、知って、考えたことを

まわりの方々にも伝えていただけたら幸いです。

 

 

 

熊本市動植物園スタッフ一同

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