キンシコウへの誘(いざな)い Vol.3
飲みにケーション???
八十有余年の歴史を誇る、熊本市動植物園の伝統的コミュニケーションツール!
飼育係であろうが、事務職だろうが、技術職だろうが、他の動物園だろうが、外国人だろうがとにかく飲む。飲んで楽しく本気で話す。これが大事なこと。
ポニーのヤヨイと著者(当時)
中国から胡さん沈さんがいらっしゃってから、公式・非公式に随分と宴会をしました。通訳さんがいなくても、片言中国語、英語、漢字や絵(?)、ボディランゲージ、筆談などなど・・・。
中でもお二人のアパートに押しかけての「大餃子大会」は、お二人がいらっしゃる半年の間に何度もしました。全て手作り。麺棒から準備し、こだわりの餃子は豚肉、キャベツ、ニンニクが主材料。小麦粉に強力、中力、薄力粉というのがあるのを知ったのもこのときでした。湖さんの指導のもと、みんなでこねて、焼いて食べる。そのおいしさは格別です。
そして酒、中国の酒、紹興酒、老酒・・・やたらアルコール度の高い酒を「乾杯(かんぺい)乾杯」といって何回も飲み干すまで飲む。
これで、酔わないはずはありません、みんなほど?良い(中にはダウンする人も)飼育談義に花が咲くのです。こちらもするすると疑問点やアイデアをぶつけます。
「メイヨウ、ウェンティ!メイヨウ、ウェンティ!」と大盛り上がりです。
ただ不思議だったのが、お酒はいつも途切れることなくあるのです。
後でわかったのですが、永田副園長、川上主任の差し入れがほとんどだったようです。
多謝、多謝、多謝ですね。
金絲猴号(子ども列車)に乗る胡揚さん(右から1番目の男性)と沈管成さん(3番目)
西安動物園での飼育の実際や、野生キンシコウの生息環境、中国の保護状況など、まあまじめな話もしましたが、中国にいらっしゃる大切なご家族のことや中国での実際の生活習慣や近況などお互いに一番気になることについても、私たちの生活も含め語り合いました。
川上主任はご自宅が広木(動物園から歩いて5分位のところ)にあり、よく中国のお二人だけで訪ねられていたようです。私たちも一緒に何度も大宴会に招かれ、餃子、馬刺し、他の多くのご馳走に囲まれ、川上主任のご家族の温かいおもてなしもあいまって、それは、それは、楽しいひと時を過ごしたものでした。しかも夜遅くまで、午前様になることもたびたび。
跳躍する宝々(パオパオ♂)の雄姿
こうやって永田副園長、川上主任の偉大な飼育係の先輩たちのおかげで、お二人との信頼関係が築けた上でキンシコウも順調な飼育ができつつあると感じました。
しかし、「飼育はこれで終わるということはない。」とは聞いてはいたのですが、大問題が確認されつつあったのです。
<キンシコウへの誘(いざな)い Vol.4につづく> |