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動物慰霊祭

2020年9月27日(日)

こんにちは。熊本市動植物園園長の戸澤です。

朝晩はめっきり涼しくなり、過ごしやすい日が続いていますが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

依然として、コロナの渦中であり、新しい生活様式もすっかり定着してきたように思いますが、感染防止に向けて自己防衛を怠らず、健康に過ごして参りましょう。

 

今回の園長日記のテーマは、当園において毎年実施している動物慰霊祭についてです。

 

動植物園では、毎年、多くの動物たちが亡くなっています。

昨年も、チンパンジーのユウコやウマグマのコジロウ、ウンピョウのジュールなど4587頭もの動物達が、多くの来園者の皆さまに愛されながら、その一生を終えました。

動物慰霊祭とは、このように園で亡くなった動物たちに対し、感謝と哀悼の意を込めて行うもので、毎年、『動物愛護週間』に併せて実施しており、本年は9/22(火)に執り行いました。

 

ちなみに、『動物愛護週間』とは、動物愛護管理法において、国民の間に広く動物の愛護と適正な飼養についての理解と関心を深めていただくことを目的に、920日から26日と定められており、この期間に様々な動物愛護の啓発に向けた取り組みが実施されているところです。

 

ご存じの方もいらっしゃるかとは思いますが、園内の北側に日本の動物達が展示されているエリアがありますが、その奥にひっそりと慰霊碑が建てられています。

 

慰霊碑

 

慰霊祭では、まず、動物達の冥福を祈り、職員全員で黙とうを捧げ、その後、私が慰霊のことばを申し述べさせていただきました。

終始、厳かな雰囲気の中で、飼育員の皆さんは、在りし日の動物達との思い出に浸っていらしたことと思います。


お参り 

 

 それでは、冒頭にもでてきました、チンパンジーのユウコ、ウマグマのコジロウ、ウンピョウのジュールについて、昨年亡くなった全ての動物達への哀悼の意を込めて、ご紹介させていただきます。

 

 まず、チンパンジーのユウコ(メス)です。


 ユウコ


 2013年5月28日、京都大学熊本サンクチュアリから来園しました。幾度か妊娠、出産をしましたが、残念ながら子どもが育つことはありませんでした。2017年には血行障害のため、後肢の切断という大きな手術を受けました。術後は順調に回復し、他の4人の仲間と仲良く穏やかに過ごしていましたが、昨年9月12日に享年41歳(推定)で亡くなりました。 


次に、ウマグマのコジロウ(オス)です。


コジロウ


1997年3月31日、阿蘇市のカドリードミニオンから来園し、迫力ある大きな体と圧倒的な存在感で、来園以来22年もの長きに渡り、多くの皆様を楽しませてくれました。高齢にも関わらず、倒れる直前まで食欲旺盛で穏やかに過ごしていましたが、2020年1月18日に享年35歳(推定)で亡くなりました。

 

最後に、ウンピョウのジュールです。


ジュール


2016年3月29日、よこはま動物園から双子の兄妹でメスのイーナ(2019年5月死亡)と一緒に来園しました。一般公開の準備を進めていた最中に熊本地震が発災し、来園より一月も経たないうちに避難生活を余儀なくされましたが、避難先の福岡市動物園でも多くの皆様にかわいがられていました。2018年10月に、2年6ヵ月ぶりに当園へ帰ってきて、兄妹のイーナが死亡し一頭になった後も、多くの来園者の方々を楽しませてくれていましたが、2020年6月6日に享年15歳(推定)で亡くなりました。 

 

ご紹介した動物達は、直接の死因となった病気を患ってはいましたが、いづれも高齢であったことから、人間でいう老衰という言葉が当てはまります。

園内の動物達は高齢化が進んでおり、これは、当園に限った状況ではありません。

また、希少な動物達は外国などからの輸入が難しくなっており、国内の動物園館で協力して計画的に繁殖を進めていかなければ、将来、多くの動物達を、日本国内で見ることが出来なくなります。


ゾウやキリンのいない動物園は少し寂しいと思いませんか?

そのような意味では、動物園の果たすべき社会的な役割は、今後、ますます重要なものになってくると実感しています。

園で亡くなっていった動物たちは、動植物園が社会的な役割を果たす上で大きな貢献をし、生きる姿を通して私たちに様々なことを教えてくれました。

私たちは、動物たちの懸命に生きた姿から学んだことを、今後に活かして参ります。

 

 

令和2年9月27日(日)

熊本市動植物園 園長 戸澤角充

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