皆さんこんにちは。熊本市動植物園園長の戸澤です。 早いもので11月ですね。一年がとても速く感じられる、今日この頃です。 朝晩は冷え込みますので、体調管理には気を付けて過ごして参りましょう。
皆さんは、動植物園内に自然の小川が流れていることはご存知でしょうか。 今回、この小川沿いの癒しの空間にスポットを当ててご紹介します。
園内の北側駐車場にある遊水池で湧出した地下水が園内に流れ込み、動物園と植物園の境を通って、そのまま江津湖に注がれています。 ちなみに、遊水地も水遊びができるため、夏場は涼み場として人気のスポットです。
園内の上流域は、清らかな水が流れる日本庭園となっています。 にぎやかな園内にあって、「ホッと」一息つける落ち着いた空間です。 ちなみに、私は水前寺成趣園にも決して引けを取らない庭園と思っています。
写真にもありますように、晴れた日には川面に周囲の木々が映り込むほど水が澄んでいて、また、豊かな自然環境が維持されていることから、綺麗な水辺にしか生息しないトンボなどの昆虫や、カワセミなどの野鳥を見ることができます。

このような恵まれた自然環境を活かして、当園ではホタルの自然発生の復活を目指し、ホタルの幼虫を養殖し園内の川へ放流するという取り組みを20年以上続けており、毎年6月にはホタルの鑑賞会も行っています。


日本庭園を抜けた下流域は、水遊びをしたり、江津湖に生息する魚や昆虫を観察したりできるスポットとして、来園者に楽しんでいただいています。

また、中国桂林市との友好姉妹都市締結を記念して建造された「友誼亭」(下の写真の赤い建物)もありますので、是非、ご覧ください。
晴れた日に、草の上にテントを張って、ゆったりとした時間をご家族やご友人と過ごされるのは最高の贅沢と思いますので、一度お試しください。
園内の小川沿いには水辺に繁殖する水質性の植物が、多く植樹されています。その内、特徴的な2種類の植物を紹介させていただきます。
まずは、「シュクシャ」です。 東南アジアに分布し、陰湿地に生え、芳香のある白い花をつけるショウガ科の多年草です。種子塊は漢方で健胃薬などに用いらます。
次は、「ラクウショウ」です。 北アメリカ原産の落葉針葉高木で、湿潤地に適し、沼沢地で根元が少し水につかった状態で自生します。下の写真にありますように、幹の周りに呼吸のための呼吸根(気根)が出てきます。

今回は園内の小川沿いにスポットを当ててご紹介させていただきましたが、この他にも園内には魅力的な場所がたくさんあります。 下の写真は、職員が小川沿いの植物を管理している様子ですが、このように、動植物園が多くの皆様の憩いの場となりますよう、全職員一丸となって取り組んでまいります。
皆様のご来園を心よりお待ちしております。
令和元年11月4日(月) 園長 戸澤 角充
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