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動物だよりvol.189~熊本地震発生から1年~

2017年4月14日(金)

平成29年4月14日(金)晴れ

 

熊本地震発生から366日。

 

あの日から、1年がたちました。

 
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報道等でこの1年の特集を見る機会が増えて

色々当時の状況を思い出されたことと思います。

 

あの前震の瞬間、動植物園では何が起きていたのか

少しお話させていただきます。

  

平成28年4月14日、21時26分

動植物園から出てすぐの市電沿いで運転中、前震がきました。

車体が揺さぶられ

周りの車がハザードランプをつけて停止する中

大きな地震を知らせる警報が鳴り

ハンドルを動植物園に向けてきりました。

 

地震発生から5分の間にスタッフ仲間と連絡をとりあい

動植物園に到着。

 

動植物園のゲート前の道路には大きなヒビと陥没ができており

管理事務所前の駐車場からは水が噴出していて

道路の穴に落ちるのではないかと思いながら車を停車しました。

 

段差のはげしい玄関を、おそるおそるあけたのを憶えています。

事務職員1名もちょうど1Fに降りてきて

互いに状況把握して対処しようと

ヘルメットを用意して話しはじめたところに

ミミナガヤギの哺乳にあたっていた職員も事務所に戻ってきて

倒れたロッカー越しに顔を合わせました。

 

皆、ひどい顔色でした。

 

その後すぐにかけつけてきた近所の飼育スタッフと

守衛さん獣医師2名を含む少人数で 

見回り確認の第一陣として出発しました。

 

まずは、獣舎が壊れて動物が脱走していた場合

危害を加える恐れの高い動物である

クマ舎とネコ科猛獣舎のバックヤードから

獣舎の損壊具合や動物達の生存確認をしていきました。

  

獣医師1名が寝室1部屋ずつ確認して歩き

もう1名は麻酔銃をとりに走れるように獣舎入口で待機していました。

 

 暗闇の中、大きな余震がくるたびに座り込んでおさまるのを待ち

陥没と隆起と水の噴出の中を、一歩一歩さぐりながら

動物の無事な姿を確認して周りました。

途中、遠方の飼育スタッフもかけつけてきたので

周るグループを増やして確認作業を行い

確認した獣舎には、電気をつけていきました。

 

 余震は、地鳴りのような音からはじまり

動物や鳥たちが叫び声をあげて

皆、大きく揺さぶられました。

 

 1年たった今でも

あの日の緊迫した恐怖感は忘れられません。

 

大きな余震がくると、獣舎や動物の様子が気になって

もう1度見に行こうかと、何度も見回りに行ったのを憶えています。

 

 

余震のたびに飛び起きる生活が、数ヶ月続きました。 

 

 

部分開園に至るまで、スタッフ一同励ましあいながら

動物のために、動植物園のために

そして、開園を待ち望んでいる皆さんのために

何かできることはないかと模索して努力してきた1年でした。

 

最近、また熊本で余震が続いているので

不安を感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

現在の動植物園は、少しずつではありますが

全面開園に向けて復旧が進んでいっているところです。

 

この1年を少しの時間で語りつくすことはできませんが

明日の4月15日(土)の部分開園日から4月末まで

動物資料館内に特設コーナーを設けて

熊本地震に見舞われた動植物園の特集を行っています(↓)。

 

 

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また、部分開園以降

皆さまから動物やスタッフに寄せていただいたメッセージの花が数多く

復興ツリーはたくさん花開いております(↓)。

 

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皆さんがいかに動物たちに会えるのを待ち望んでくれているかが

強いメッセージとして伝わってきます。

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いまだ会えない動物たちへのメッセージとともに

部分開園で会えた動物たちの様子やイラストもあります。


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飼育スタッフあてへの感謝の言葉もありました。

 

全面開園ができずお待たせしてしまっているという申し訳ない気持ちと

あたたかく見守ってくださっている皆さんへの

感謝の気持ちでいっぱいになり

読んでいるだけで胸が熱くなりました。

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この復興ツリーのメッセージは

熊本市動植物園でおきた熊本地震の特集とともに4月末まで

動物資料館のレクチャールームに展示しています。

  

あの日、動植物園に何が起きたのか。

 

影響を受けた動物たちが立ち直るまでの経過。

動物たちの心のケアのために苦心したこと。

給排水設備が壊れた動植物園のために

ポリタンクを持ってかけつけてくれた九州園館の飼育仲間達。

日本全国からいただいた、たくさんの励ましの手紙や寄せ書き。

水や非常食などの支援物資。

 

これらの写真やポスターなども、一緒に掲示しております。

 

これまでの1年間がぎゅっと詰まっています。

 

関心を持たれましたら、ぜひ動物資料館まで足をお運びください。

 

 

あの日、動植物園の中の様子がわからない状況で

ライオンが逃げたという偽情報も流れて

ご近所の方々にとっては、さらなる恐怖もあったことでしょう。

 

先が見えない状態で休園を続けるしかないとしても

 正確な動植物園の情報を伝えていかなければ。

 

 動物たちの無事な様子を伝えて、皆さんに安心して欲しい。

 

動物たちの元気な姿をみて、少しでも皆さんの心のケアになれば。

 

そんな想いから再開したこの飼育ブログも今日で189回目。

 

 

全面開園に至るまでは

見えないエリアの動物たちの姿を中心に

この飼育ブログの動物だよりを続けてまいります。

 

これからも、がんばるばい!

 

 

上野 明日香

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